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●オーナーシェフ 神田 康男 |
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大手チェーン店で、ごくごく普通のパン職人として修行を積み 独立するまで、正直私は、天然酵母パンには興味がありませんでした。
手間は掛かるし、原価は高く利益の薄い天然酵母パンは、今でも職人の間では鬼門とされ、まともな商売人なら決して手を出さない まさに、開けてはならない"パンドラの箱"なのです。
そんな天然酵母パンに私が興味を持つキッカケとなったのは、独立後に知り合った ある お客様の一言でした。
『有史以来、穀物を主食にして来た日本人ほど、米や小麦の穀物の味がわかる人種は世界中探してもいないと思う。僕は 本当の小麦の味が楽しめる、素朴で美味いパンを食べてみたい。』
私は正直、お客様のその言葉にショックを受けました。
それまで私は、パンとは西洋の食べ物であると言う固定観念しか持っていなかったからです。
バターや牛乳、生クリーム、砂糖と言った材料を混ぜ込んだパンの美味しさは、日本古来の食文化の味わいとは完全に一線を画すもの。だから、たとえいくらパンが日本人の食卓へ進出しても、主食にはなりえない第2第3の位置づけの食べ物である。そう考えていたからに他なりません。
朝食にはなりえても、毎日の夕食にはなりえない。その現実は変えようがない。私はそれまで、そう思っていたのです。
しかし、あのお客様の、ありがたい、あの一言が、それまでの私の考えをものの見事に一変させたのです。
本当の意味での日本人の嗜好に合った 『主食』となり得るパンを作ってみたい。ひと口めの口当たりの良さよりも、素朴で、噛み締めるほどに味わいの出てくる『ごはん』のようなパン。
『ゴパン』を作りたい。・・それが最初の衝動でした。 その後、度重なる試行錯誤の末、その夢の実現に、最も可能性があるのが天然酵母を使ったパンではないのか? と、思い至ったのです。
その理由は、次の酵母作りのページでお話したいと思います。 |
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